ここ数年デニムメーカーやブランドは綿花栽培に使われる大量の水と化学肥料、環境負荷の高い加工や染色、仕上げの工程、衣料リサイクルの問題を受け、従来のコットンに代わる繊維を追求し、使用する水、排水、廃棄物、エネルギーの削減に努めた環境に優しいソリューションに力を入れています。責任のある製品を生活者に提供する試みのイノベーションの一部を紹介したいと思います。
【Kings of IndigoのRe-Gen Premium Denim Reinvented】
Re-Gen Premium Denim Reinventedシリーズは、バージンコットンを一切使わないプレミアムデニムであり、ジーンズ1着あたり、2,700リットルの水を節約し、溶剤を60%カットできるリサイクルコットンとREFIBRA™(25%リサイクルコットン x 25%リサイクルコットンと25%TENCEL)の混紡によるセルビッジデニムで作られています。
Kings of Indigo
REFIBRA
【「CLOSED」のエコなデニムラインA Better Blue】
A Better Blueで使用されるオーガニックコットンは、従来の方法で栽培されたコットンよりも70%少ない水と60%少ないエネルギーで作られています。また、遺伝子組み換え種子や有毒化学物質は使用されていません。さらに革新的な染色方法(この染色技術のKitotex®は、染色プロセスの水、エネルギー、化学薬品の消費を大幅に削減し、エビの殻に含まれる天然高分子キトサンに焦点を当てた特許技術です。)、新しい洗浄技術(従来の洗浄プロセスは、レーザーの使用によって加速または完全に置き換えられ、水や化学薬品の使用が削減されます。)といったすべてのステップでより持続可能な状態に保つソリューションが取り入れられています。
CLOSED A Better Blue
【「Bear Fiber」の綿のようなヘンプ】
2017年に創立された米国紡績メーカーの「Bear Fiber」は麻を綿のように加工するヘンプのパイオニアです。トレーサビリティを徹底し、アメリカ国内のサプライチェーンを通し、ヘンプをメインストリームに送り出しました。
ヘンプはコットンよりも歴史が古く、最も丈夫な天然繊維のひとつと言われていますが、環境に優しくもあります。ヘンプはコットンの4分の1の水量で栽培でき、栄養素の70%を土壌に戻します。天然の抗菌性、断熱性、紫外線防止の特性を持ちます。
今までは素朴な見た目と手触り、割高なコスト、高収縮性から、ペンプは最近までデニム製品ではニッチな素材として捉えられていましたが、ヘンプ繊維をコットンのように加工するプロセスはエネルギーや化学物質をほとんど使わずに、コットンのような見た目や手触りを再現でき、またジーンズの織布工程にかかる水量も大幅に少なことからも、コットンに変わるサスティナブル素材として期待が集められています。
Bear Fiber